プロジェクト参加を希望する方へ

Requirement of Participation

我々は、新たな参加者を歓迎します。

DIVE Explorersの探検・調査では、新しい参加者を常に歓迎しようと考えています。
それは、新たな参加者が経験を積み、新たな探検の仲間となれば、より大きな未踏へ挑戦できると考えるからです。。
さらに、参加したその仲間が独自に探検のフィールドを広げ、互いに誘い合えるようになり、未踏が次々と開拓されれば、これほどうれしいことはありません。

初めてプロジェクトに参加しようとする方へ

ダイビングでは、「潜ることができる」のと、「潜って作業ができる」のには、極めて大きなレベル差があります。
そして、我々が求めているのは“潜って作業ができるダイバー”です。

このギャップは世界中の探検プロジェクトの課題となってきました。
すなわち、探検に参加するためには潜って作業ができないといけませんが、潜って作業ができるようになるためには探検に参加して経験を積む必要があるという、矛盾した課題です。

このギャップを埋められないため、探検のチームには新規の参加者を受け入れられず、メンバーが刷新されないという課題がありました。

我々は、このギャップを埋めるため、各探検や調査に必要な最低限のライセンスを取った人を、“Exploration Grade”のダイバーに育てるためのカリキュラムを構築しようとしています。

そして、このカリキュラムを日本国内で構築するのは、実際に探検を経験し、世界の水中探検家と交流のある我々の役目であるとも考えています。

そして、このトレーニングに支払った費用は、我々のプロジェクトの費用となり、あなたは探検を支援することにも繋がります。

なおここでは、ダイバーがプロジェクトへの参加するときのことを想定して記載しています。
我々は様々な研究者の方々と共同・協力して研究を実施しています。ダイバー以外で、陸上サポートや研究者としての参加を考えておられる方は、別途お問合せ下さい。

撃沈される前の常陸丸

プロジェクト参加の前に

プロジェクトの目的は、設定したゴールの達成です。したがって、参加者はゴールを達成するための役割を果たすことが必要です。

各人の役割はプロジェクトのリーダー、場合によっては個別の潜水のリーダーが決定するものです。
ゴールの達成のため、ときに自分がやりたいことではなく、自らに割り振られた役割を献身的にこなすことも求められるでしょう。

また、「お客さん」や「同行者」、「潜るだけ」のダイバーはプロジェクトの役割として求められていません。そして、役割をこなすための“具体的なスキル”も必要です。

「一度探検というものをやっててみたい」という方は、我々が開拓したダイビングサイトへのダイビングツアーに、一度参加してみるのがよいかもしれません。
一番リスクが高く、面倒で、結果が出るかも分からない一番最初のスタートを終えてから参加した方が楽しい人がほとんどでしょう。

常陸丸を撃沈した、ロシア海軍の装甲巡洋艦「リューリク」

プロジェクト参加の費用

プロジェクトへ参加するための費用は、個別のプロジェクトに応じて設定されます。

ほとんどのプロジェクトは営利ではなくダイビングフィーはかかりませんが、必要物の輸送や事前調査等の費用を鑑みて参加の費用が掛かる場合があります。

ダイビングに係る実費(宿泊、交通など)は別途必要です。
呼吸ガスの費用は、参加者が自分で用意する場合を除き、DIVE Explorersが標準的に定める費用と輸送費用がかかります。

ケーブダイビングプロジェクトで必要なライセンス/スキル

  • フルケーブダイバー
  • 直近6か月以内にフルケーブダイビングをしていること
  • 完全にゼロ視界での探検・調査の経験、または我々のケーブダイビングプロジェクトに係るカリキュラムを完了していること
  • 調査報告が提出されたケーブダイビングプロジェクトで主要メンバーであったこと、または我々のケーブダイビングプロジェクトに係るカリキュラムを完了していること
  • 下記のいずれかのスキル
    • フォトグラメトリー
    • 洞窟測量
    • ケーブ内でのカメラ撮影
    • 生物採取
    • 論文の執筆
  • 場所によって必要となるライセンス/スキル
    • ステージケーブ
    • DPV ケーブ
    • CCR ケーブ
    • 減圧およびトライミックスのライセンス

上記のライセンス/スキルを満たさないという方向けに、プロジェクトトレーニングを提供しています。
興味のある方はお問合せ下さい。

ディープダイビング/ディープレックプロジェクトで必要なライセンス/スキル

  • アドバンスドトライミックスダイバーまたは予定深度の基準を満たすリブリーザーの資格
  • 直近1か月以内に減圧ダイビングをしていること
  • 直近6か月以内に、予定深度と同等以上のダイビングをしていること
  • 25本以上のトライミックスダイビングの経験
  • 100本以上の減圧ダイビングの経験
  • 調査報告が提出されたダイビングプロジェクトで主要メンバーであったこと、または我々のディープダイビングプロジェクトに係るカリキュラムを完了していること
  • 下記のいずれかのスキル
    • フォトグラメトリー
    • カメラ撮影
    • 論文の執筆
  • 場所によって必要となるライセンス/スキル
    • リブリーザー資格
    • DPV

上記のライセンス/スキルを満たさないという方向けに、プロジェクトトレーニングを提供しています。
興味のある方はお問合せ下さい。

オープンウォーターのプロジェクトで必要なライセンス/スキル

  • 減圧手順ダイバー/Tec45 ダイバー
  • 減圧が必要な場合、直近1か月以内に減圧ダイビングをしていること
  • 直近6か月以内に、予定深度と同等以上のダイビングをしていること
  • 調査報告が提出されたダイビングプロジェクトで主要メンバーであったこと、または我々のダイビングプロジェクトに係るカリキュラムを完了していること
  • 下記のいずれかのスキル
    • フォトグラメトリー
    • 洞窟測量
    • ケーブ内でのカメラ撮影
    • 生物採取
    • 論文の執筆
  • 場所によって必要となるライセンス/スキル
    • ステージケーブ
    • DPV ケーブ
    • CCR ケーブ
    • 減圧およびトライミックスのライセンス

上記のライセンス/スキルを満たさないという方向けに、プロジェクトトレーニングを提供しています。
興味のある方はお問合せ下さい。

常陸丸の潜水調査の開始

そのような中で2025年、福岡市に所在するDivingBase JOINT代表・寺澤淳二氏から、常陸丸の所在についてDIVE Explorersの伊左治を含む何名かに情報提供があり、これを受けて直接ダイバーが潜水する計画が立ち上がりました。

同年7月、船長の寺澤淳二氏、ダイバーの大濱裕次氏、加藤大典氏、清水淳氏およびサポートの誉田康平氏および木下直樹氏によって初回の潜水が行われ(この潜水には、私は参加していません。)、無事に常陸丸へに到達に成功しました。
現場は外洋かつ水深約80メートルという過酷な条件であり、海底での滞在時間は極めて限られましたが、潜水手順の確立とともに、船首および船尾部分の初の有人撮影が実施されました。

水中でダイバーが直撮撮影した、常陸丸の船体 常陸丸に絡んだ漁網 常陸丸とテクニカルダイバー

2025年8月の潜水調査に向けて

私、伊左治は、常陸丸を「歴史の証人」と捉えており、その潜水調査に臨むにあたっては、船の歴史的背景に触れ、理解することが不可欠であると考えています。

レック(沈船)への潜水は、単に水中景観を楽しむだけでなく、その船が歩んだ歴史に「潜る」行為でもあります。調査の意義を深めるためにも、そして潜水者としての経験をより豊かなものとするためにも、背景理解は欠かせません。

こうした考えのもと、初めて常陸丸の姿を記録したBS-TBS番組の制作会社の方々、BS-TBS番組において船体の同定を行った水中遺跡研究者の佐々木ランディ氏(帝京大学准教授、2025年8月現在)、そして遺族会代表の方などと連絡を取りました。(※ 正式には、100周年をもって遺族会は解散しており、有志が集まって活動をしているということでした。)
その中で、水中遺跡としての価値、戦争遺構としての意義、遺族や関係者の想いなど、多様な視点や要望を伺うことができました。

また、2025年8月の調査にあたっては、共に潜水を行う清水淳氏が運営するダイビングサービス「マリーンプロダクト」のゲストである誉田康平氏および木下直樹氏より、陸上および水中でのサポートをいただけることとなりました。ここに記して深く感謝申し上げます。

常陸丸殉難記念碑(靖国神社)

潜水調査(2025年8月19日~20日)

潜水に先立ち、2日前から器材の準備を開始しました。今回の潜水は水深約82メートルに及ぶため、トライミックスや減圧用のガス、さらにサポートダイバーのための準備が必要となり、ゼロからの準備には丸一日以上を要しました(充填を担当していただいた清水さんありがとうございました。)。

探検活動においては、こうした準備作業、さらに「準備をできるようにするための準備」が極めて重要です。私は、「実際に潜るのは探検の20%に過ぎない」という持論を持っていますが、今回の作業を通じ、準備力のさらなる向上が必要であると改めて認識しました。

今回は私はリブリーザー、バディの清水淳さんはオープンサーキットでしたが、今回の装備構成は以下の通りとなりました。

  • 伊左治(リブリーザー):
    • トライミックス12/65(酸素12%、ヘリウム65%)10L × 2(デュレント兼ベイルアウト)
    • EAN50(酸素50%)10L × 1
    • 純酸素 10L × 1
    • Fathom GEMINI リブリーザー
    • SUEX Goldfinder XJ 水中スクーター
    • OM-D E-M1 Mark Ⅱ カメラ
  • 清水(オープンサーキット サイドマウント):
    • トライミックス15/40(酸素15%、ヘリウム40%)10L × 4
    • EAN50(酸素50%)10L × 1
    • 純酸素 10L × 1
    • OM-1 Mark Ⅱ カメラ
常陸丸の全景 常陸丸に進入するダイバー

2025年8月19日の潜水

初日は、船体中央部の船倉への進入(ペネトレーション)を目的としました。事前に「常陸丸には自転車が積載されていた可能性がある」との情報を得ており、遺品や積荷の確認も念頭に置いていました。

ROV調査で「船倉が残存している」との情報を得ていたため、船体中央部を狙って潜水することとし、船体に錨を当てて破損させないよう、玄界灘を知り尽くしたダイビングガイドである寺澤氏が船長として最新の注意を払いながら錨を投入しました。

潮流に逆らいながら潜水を開始して10分後、取りついた常陸丸の甲板は半ば崩壊し、船体には大量の漁網や釣り糸が絡みついており、水中拘束のリスクが極めて高い環境でしたが、なんとか常陸丸内部への進入に成功しました(動画をご覧ください。)。

内部では積荷の確認には至らなかったものの、ボイラーや配管の構造を確認でき、探索した区画は船体中央から船尾寄りの船倉であると推定されました。

2025年8月20日の潜水

2日目は、今後他の潜水者が調査を行う可能性も考慮し、船体全体の把握と記録を目的としました。バディの清水氏と協議のうえ、水中スクーターを用いて船体全域を巡回し、撮影と記録を実施することとしました。

調査の過程で、多くの窓がある司令部と思しき部屋(動画参照)や、日常的に使用されていたと考えられる食器類などを発見・記録することができました。

食器からは在りし日にはここで人が過ごしていたことを感じさせられ、年月の経過とともに崩壊が進む沈船の現状を記録することは大きな意義を持つと改めて実感しました。

常陸丸に残された陶器製の食器類

2025年8月の潜水調査の総括

今回の調査では、各日の目標を概ね達成することができました。これは、バディの清水氏、船長を務めていただいた寺澤氏、サポートを担当いただいた木下氏・誉田氏、それぞれが自らの役割において“Strong”であったからだと思います。

私にとって潜水は目的を達成するための手段であり、単なる潜水行為を目的化することはありません。
「水深80メートルに潜る」ことと、「カメラを携行し、撮影というタスクを遂行する」ことの難易度は全く別のものです。
今回バディの清水さんとはお互い安心してタスクをこなすことができましたが、日本国内においても、こうした「水中でタスクを遂行できる」能力を持つ“Strong”なダイバーが増えることで、多様な場所での探検や調査がさらに進展していくと思います。

8月の潜水調査に関する報道など

常陸丸遺族会へ、潜水報告と撮影写真の贈呈

2025年10月15日、常陸丸遺族会の方々に対し、今回の潜水調査の結果報告と撮影した水中写真の贈呈を行いました。

会場は、常陸丸事件で戦没された方々が祀られている靖国神社よりご厚意でご提供いただき、遊就館の参集殿にて開催されました。遺族会代表者をはじめ、戦没者の子孫14名が出席され、静謐な雰囲気の中で報告を行うことができました。

出席されたご遺族の中には、常陸丸事件当時の関係者から4代目・5代目にあたる方々もおられ、今回初めて常陸丸と関わったという方もいらっしゃいました。

私は折に触れて「自分のルーツや歴史を顧みたいと思ったとき、その記録が残っていることは素晴らしいことだ」と述べています。
記憶が薄れること自体は自然な流れですが、いつでも過去を振り返ることができるというのは、心を温めることだと感じています。私たちの活動によって残された記録や映像が、その一助となれば幸いだと思います。

撮影した写真の贈呈 潜水の報告の実施
常陸丸を撃沈した、ロシア海軍の装甲巡洋艦「リューリク」

常陸丸関係者の方々との交流

今回の機会を通じ、遺族の方々や、毎年慰霊祭を執り行う靖国神社関係者の方々、船主の日本郵船の方々から、常陸丸にまつわる多くの貴重なお話を伺うことができました。

遺族会代表は、常陸丸輸送指揮官・須知源次郎中佐のご子孫にあたる方であり、さらに出席者の中には、連隊旗手であった大久保正(まさ)少尉のご子孫もいらっしゃいました。保存されていた当時の写真資料を拝見し、日露戦争時代の記録が100年以上の時を経てなお継承されていること、その歴史を守り伝えてきたご家族の努力に深い感銘を受けました。

保存されていたという当時の写真などを拝見させていただいて、日露戦争時代の写真がしっかりと残っていることに驚くとともに、それをずっと伝えてきたということにも感じ入るところがありました。

日本郵船さんからは、常陸丸の図面が日本郵船歴史博物にあるという話もいただき、今後の調査にも大いに役立つであろうと思われます。

また、靖国神社の方からは常陸丸殉難慰霊碑の歴史についてもお話を伺いました。慰霊碑は常陸丸事件後、東京都千代田区の千鳥ヶ淵公園に建立されましたが、第二次世界大戦の終結後に撤去・破棄され、その所在は一時不明となっていました。

しかし、後年、九段下駅の建設工事中に土中から偶然発見され、再建立されることとなります。慰霊碑は破損した状態で見つかりましたが、継ぎ合わせと補修を経て、現在は靖国神社境内に再びその姿を残しています。
※ 写真の中央部が発見され補修された慰霊碑で、周囲の部分は再建立時に作られました。

常陸丸事件には様々な経緯や背景があり、評価の視点も多様ですが、歴史が紡がれ、受け継がれていくその姿を目の当たりにしたとき、自分自身は後世に何を残せるのかを深く考えさせられました。

靖国神社に建立された常陸丸の慰霊碑

Members for This Project(A→Z)

Boat Captain ⁄ Dive Base

  • Junji TERASAWA(寺澤 淳二:DivingBase JOINT)

Exploration & Filming Team

  • Jun SHIMIZU(清水 淳:マリーンプロダクト)
  • Yoshitaka ISAJI(伊左治 佳孝:DIVE Explorers)

Diver Support Team

  • Kohei HONDA(誉田 康平)
  • Naoki KINOSHITA(木下 直樹)

First divers dived in July 2025

  • Daisuke KATO(加藤 大典:ダイブプロショップevis)
  • Jun SHIMIZU(清水 淳:マリーンプロダクト)
  • Yuji OHAMA(大濱 裕次:Cave Explorers INAZUMI)