シグナルフロート、使っていますか?
上の写真のようなシグナルフロートを見たことがある方が多いのではないでしょうか?
シグナルフロートは、正式名称ではSMB:Surface Marker Buoy(サーフェスマーカーブイ)と言います。
または、DSMB:Delayed Surface Marker Buoy(ディレイドサーフェスマーカーブイ)という場合もあります(正確には、DSMBはSMBの一種です。)。
“シグナル”フロートという名前の通り何かしらのシグナル(信号)を送るための装備です。
普段のダイビングにおいても、水中でフロートを打ち上げているガイドの方を見たことがある人は多いのではないでしょうか。
この場合は、「この位置に居るよ!」ということを、水中から船に伝えているのですね。
ドリフトダイビングでは一般的なやり方かと思います。
あるいは、水面についてからフロートを膨らませているような場合もあるかもしれません(オープンウォーターダイバー講習ではこのようにやっている場合が多いかと思います、)
テクニカルダイビングにおいては、SMBは上のような用途に加えて様々な役目があります。
シグナルフロートの役割
- 水中から船に居場所を伝える
- 水中から船(陸地)にメッセージ/緊急事態を伝える
- バックアップの浮力帯として使用する
- SMBにつないだスプール(or リール)を深さの指標にする
それでは各用途について解説していきましょう。
水中から船に居場所を伝える
これが上でも書いた、メインの役割ですね。
居場所を伝えるためですから、ただなんでも水中から打ち上げればよいというわけではなく船から見やすい必要があります。
したがって、下記の条件を満たす必要があります。
- 波が高い場合は、波の合間に埋もれない大きさのもの
- しっかりとSMBの中に空気を入れること(少ししか空気が入っていないと、SMBの頭しか水面に出ないので見えない)
- 下から浮上してくる間に、SMBの中の空気が出て行かないもの(クローズドタイプ)
なお、テクニカルダイビングではクローズドタイプのSMBが使われます(= SMBの下がオープンになっているものは使われません。)。
これは、大深度から上がってくる場合は浮上に時間がかかるため、その間にオープンタイプのSMBは途中でコケてしまって、中の空気が出ていく恐れがあるからです。
また、事前に船との打ち合わせとして、
- エントリーからおよそ何分後にSMBをあげるか(それとも、SMBを最初から上げたまま泳いでいくのか)
- 何色のSMBをあげるのか(他のチームのSMBと混同させない)
などが必要です。
水中から船(陸地)にメッセージ/緊急事態を伝える
SMBには、ダイバーが居る場所だけではなくメッセージを伝える役目もあります。
テクニカルダイビングでは水中で何かが発生する可能性がレクリエーショナルダイビングより高いですから、水面からサポートが欲しい場合も多いため、船と連携を取るためのツールとしてSMBを用います。
船上とダイバーのコミュニケーションの例
- SMBの色によって緊急事態を伝える(例えば、黄色は緊急事態、オレンジは異常なし、など。)
- リボンを結んだSMBが上がったら、サポートダイバ―に水中に来てもらう
- SMBに水中ノートを挟んで、直接文章で伝える
- ダイバーがバラけてしまった場合に各地点を伝える
これらは船長やサポートダイバーとの綿密な打ち合わせが必要ですし、そのエリアでローカルルールが決まっている場合もあります。
SMBによるコミュニケーションはどちらかというと各々が工夫してやっている場合が多く、マニュアル化されたものはない場合が多いですが、良いと思った手順やローカルルールについては別の記事で解説したいと思います。
バックアップの浮力帯として使用する
BCDやインフレーターが壊れ、浮力を調整できない(あるいは、入れてもすぐに抜けてしまう)場合にフロートを予備の浮力帯として使用する場合があります。
あまり推奨されることではありませんが、どうしても浮力を確保したい場合には使用することもあるでしょう。
SMBにつないだスプール(or リール)を深さの指標にする
テクニカルダイビングの場合では、大深度から数メートルおきに減圧停止をしながら浮上してくる場合が多くあります。
例えば、水深60mから、3mおきに1分ずつ止まりながら、57m、54m、51m、・・・。と浮上してくるとします。
このような場合はドリフトで上がってくる場合が多いですから、中層にいると場所や深さの目印になるものがありません。
その際に、SMBに結び付けたスプール(or リール)を深さや集合位置の指標にします。
まとめ
シグナルフロートの役目、参考になりましたか?
SMBは工夫次第で様々な用途で用いることができます。ダイビングを実施するエリアに応じて、より安全なダイビングを実施するために各自で色々と工夫していってください。