ケーブダイビングとは何だろう?
ケーブ(Cave)とは洞窟のことで、端的にはケーブダイビングとは洞窟の中へ入っていくダイビングのこと。
水中へ差し込む美しい太陽光や、ちょっとした冒険のようなワクワクするダイビングを想像する方が多いかもしれない。
ここでは、ケーブダイビングの定義や区分、そして皆を惹きつけてやまないケーブダイビングの魅力と注意点について語っていこう。
- ケーブダイビングとは?
- ケーブダイビングのライセンス
- ケーブダイビングの魅力
- ケーブダイビングの危険性と注意点
- レクリエーショナルダイビングでも行けるカバーンダイビングポイント
- テクニカルダイビングで行くケーブダイビングポイント
ケーブダイビングとは?
ケーブダイビングとは、「閉鎖環境」、「オーバーヘッド環境」で潜るダイビングの一つだ。
洞窟には当然に天井があり、すなわち何かトラブルが発生してもその場では浮上できない。
このような環境を閉鎖環境、もしくはオーバーヘッド環境といい、通常のダイビングよりもリスクが高い環境でのダイビングとなる。
これは洞窟だけに限らず、例えばレックダイビング(沈船ダイビング)で沈船の中に進入すると、それもオーバーヘッド環境となる。
また、テクニカルダイビングでは、天井がある洞窟に入るダイビングをすべてケーブダイビングと呼ぶのではなく、下記のように区分している。
洞窟ダイビングの区分
- カバーン:洞窟の入口および太陽光が直接見える範囲
- ケーブ:カバーンより奥の、太陽光が直接入らない範囲
レクリエーショナルダイビングでいうケーブダイビングは、実際にはこのカバーンへのダイビングを指している。
宮古島などのケーブダイビングは、実際にはほとんどがカバーンダイビングといえるだろう。
カバーンダイビング
ケーブダイビング
ケーブダイビングのライセンス
ケーブダイビングはとても魅力的である反面、特にテクニカルダイビングで言うところのケーブダイビングはリスクも伴うアクティビティだ。
したがってテクニカルダイビングの指導団体では細分化されたケーブダイビングの講習が用意されている。
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一般的なケーブダイビングのライセンス
- カバーンダイバー:洞窟の入り口が直接目視でき、太陽光が入る範囲。団体によって距離は異なる。
- イントロケーブダイバー:入り口から続く一本のライン沿い。また、ガスは全ガス量の6分の1まで。
- フルケーブダイバー:トレーニングや能力の限界を超えない限り範囲無し。ただし団体によって深度制限あり
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フルケーブダイバー認定後の追加ライセンス
- ステージケーブ:タンク(ボトムガス)をさらに増やす
- DPV ケーブ:ケーブ内での水中スクーター(DPV)の使用
- ケーブサーベイ:ケーブ内の測量やマップ作成
- CCRケーブ:リブリーザーでのケーブダイビング
※ 一部の団体では名称が異なったり制限が異なる場合がある
このうち、カバーンダイバーコースはいわゆる普通のダイビング装備で受講できる。
カバーンダイビングというと普段やっているダイビングと一緒じゃないかと思うかもしれないが、「道の分からない洞窟に先頭で入る」というのはこれまでのダイビングとは一線を画す経験となるだろう。
カバーンダイビングより上のイントロケーブダイバーコースになってくると、背中に2本のタンクを背負うダブルタンクか、両脇にタンクを抱えるサイドマウント装備での受講が求められる。
ここからは本格的にテクニカルダイビングの領域になるということだ。
講習とはいえ、真っ暗な洞窟に入って行くことになるため、より高いスキルが求められるようになる。
ケーブダイビングの魅力
ケーブダイビングの魅力は、やはりその冒険感だろう。
たとえ太陽光が入るカバーンダイビングであっても、普通のダイビングよりさらに非日常の世界であることは間違いない。
さらに、ライセンスを持ったケーブダイバーは、“先頭で洞窟に入る”という役割も果たすことができる。
自分の知らない洞窟を、この先がどうなっているのかを考えながらチームで潜っていく…そんな興奮を味わえる機会はそうそうないだろう。
本格的なケーブダイビングのポイントでは、その中の地形が完全には把握されていないことも多い。
トレーニングを重ねたケーブダイバーであれば、時には新しいルートを開拓したりすることもできるかもしれない。
我々が行っている探検も、その一部はこのケーブダイビングの延長線上にある。
もちろん、探検の場合はそもそも水面に到達するまでの陸上に困難が多かったり、潜水用のタンクそのものも現地に無かったりなど、水中以外での課題も多い。したがってライセンスがあるから即探検ができるというものではないが、水中のスキルや注意に関してはレジャーのケーブダイビングの延長と表現できるだろう。
ケーブダイビングの危険性と注意点
ケーブダイビングの最大のリスクは、トラブルがあってもその場で浮上できないということだ。
ガスが切れても、レギュレーターが壊れたとしても、いかなる場合でも洞窟の入り口まで戻れなければ浮上できないということである。
たとえカバーンダイビングで太陽光が見えていたとしても、この「洞窟の入り口まで戻らなければ浮上できない」という点では同様だから、久しぶりのダイビングでドキドキしているようなときや何か不安を感じたようなときなど、パニックを起こすような要因があるときには洞窟の中に入る前に一度リラックスができるダイビングを挟んだ方がよいだろう。
さらに本格的なケーブダイビングの場合は、ルートを間違う(迷う)リスクや、ライトが壊れて何も見えなくなるリスク、洞窟の奥では流れが少ないためフィンで地面の砂を巻き上げると視界が全くなくなるリスクなどが考えられる。
さらに、ガス切れなどの致命的なトラブルが起きたとしても、洞窟の入り口が見えないような距離から戻ってこないといけない。
したがってケーブダイビングのライセンス講習では、様々な状況やトラブルを想定してトレーニングを行うし、その後にケーブダイビングをしようとする洞窟の環境次第では種々の追加トレーニングが必要となる。
レクリエーショナルダイビングで楽しめるカバーンダイビングポイント
レクリエーショナルダイビングでもいけるダイビングポイントで、DIVE Explorersでよく案内するポイントもまとめてみた。
それぞれに難易度はバラバラだが、参考にしてほしい。
- 沖縄県:青の洞窟
- 沖縄県:万座ドリームホール
- 沖縄県:トライアングルホール(恩納水中鍾乳洞)
- 沖縄県:辺戸岬ドーム(辺戸岬ホール)
- ※ 沖縄県伊江島:オホバ大洞窟、その他洞窟群
- ※ 大分県:稲積水中鍾乳洞
- ※ メキシコ:セノーテ
注:※が付いたダイビングポイントは、テクニカルダイビングでしか行けないエリアがある。
ケーブダイビングに興味があるという方は、一度上記のようなカバーンダイビングが可能なポイントで、自分が楽しめるかどうかを確認してみるのもよいかもしれない。
テクニカルダイビングで行くケーブダイビングポイント
最後に、テクニカルダイビングでしかいけないダイビングポイントだ。
- 沖縄県伊江島:洞窟群
- 沖縄県宮古島:悪魔の館
- 沖縄県久米島:ヒデンチガマ
- 沖縄県南大東島:洞窟群
- 大分県:稲積水中鍾乳洞
- アメリカフロリダ:ジニースプリング
- メキシコ:セノーテ
- ハンガリー:Molnár János Cave
この中にはケーブダイビングの講習で使用するポイントから、ライセンスを取得したばかりでは難しいようなポイントまで含まれている。また、入るためには自治体の許可など特殊な条件が必要な場合もある。
本格的なケーブダイビングは誰しもに勧められるものではないが、その魅力に取りつかれる人が多いのも事実。
興味を持った方は一度挑戦してみると新たな世界が開けるかもしれない。